便秘・下痢

便秘と下痢

便秘と下痢

便秘と下痢はどちらも誰もが経験したことがある日常的な症状ですが、繰り返す場合には重大な疾患が隠れている可能性があります。また、原因疾患が特にない場合でも、便秘や下痢が続くと大腸や肛門に大きな負担がかかるため、さまざまな疾患の発症リスクが高くなってしまいます。
快適な生活を取り戻すためにも、便秘や下痢になりやすい場合には、早めに消化器内科を受診するようおすすめしています。

便秘

便秘は快適な排便ができない状態のことで、数日排便がない、排便量が少ない、残便感がある、強くいきまないと出ない、服薬や浣腸しないと排便できないなども含まれます。

便秘を放置するリスク

大腸に便が長く滞留すると腐敗菌が増えるため、腸内環境が悪化してしまいます。皮膚トラブルや肥満につながりやすことはよく知られていますが、それ以外にも脂質異常症の発症などにも関与することがあります。また、排便時に長時間強くいきむため肛門やその周辺に大きな負担がかかるため、切れ痔やいぼ痔など痔疾患の発症・再発・悪化のリスクが上昇します。

市販薬を常用して徐々に服薬量を増やさないと効果が得られなくなり、浣腸しないと排便できないといった頑固な便秘になってしまっているケースも少なくありません。
便秘は消化器内科による原因に合わせた適切な治療を行うことで根本的な解消が可能です。当院では再発防止も視野に入れた治療を行っており、患者様にきめ細かく合わせて効果の出やすい薬剤、負担が少ない薬剤などを処方しています。また、便秘のタイプやライフスタイルに合わせた食事や生活習慣の改善についても無理のない範囲で具体的にご提案しています。便秘しやすい場合はお気軽にご相談ください。

便秘の原因

原因疾患がある器質的な便秘と、腸の機能的な問題で生じている機能的な便秘に分けられます。器質的便秘の原因疾患には、大腸がん、炎症性腸疾患、肛門疾患などがあり、まずはこうした器質的な問題がないかをしっかり調べることが重要です。
機能的便秘は、腸の動きが悪い弛緩性便秘、腸の緊張による痙攣性便秘、便が直腸にたまる直腸性便秘があって、適した治療法や生活習慣の改善ポイントがそれぞれ変わってきます。

便秘の診察・治療の流れ

1問診

排便頻度、量、便の状態、いきみの強さと時間、腹痛や肛門痛の有無、血便の有無、便秘発症と解消のきっかけ、便意の有無や強さ、体重の変化、既往症や服用している薬、食欲の有無、便秘以外の症状、ライフスタイル、お悩みの点などについてうかがいます。

2診察・検査

腹部超音波検査

腹部の触診で、便のある位置、量、腫れなどの有無を確認し、必要があると判断された場合は血液検査・腹部超音波検査などを行います。肛門や直腸の疾患が疑われる場合には、状態を確認します。
病変などがある器質性便秘が疑われる場合には、大腸カメラ検査を行って大腸全域の粘膜の状態を直接確認します。
疑わしい部分がある場合は組織を採取して病理検査を行うことで、幅広い疾患の確定診断が可能です。当院では楽に受けていただける精緻な大腸カメラ検査を行っており、ご不安などに合わせたきめ細かい対応が可能ですので、ご相談ください。

3診断と治療

診察や検査の結果をわかりやすくご説明し、必要な治療をご提案し、患者様と相談しながら治療方針を決めます。
原因やタイプ、ライフスタイルなどに合わせた薬物療法、食事を含めた生活習慣の見直しなどの治療を行っていきます。処方できる薬も数多く、新しい作用機序のある薬、効果の出方に個人差が大きい薬もありますし、漢方薬との併用も可能です。再診時にはお話をうかがった上で処方を微調整して、いつも最適な処方になるよう心がけています。

下痢

下痢

水分が多く含まれた便が何度も出る状態で、短期間に改善する場合は急性下痢、1ヶ月以上続く場合は慢性下痢とされます。
急性下痢の原因で多いのは感染によるもので、整腸剤などを用いた治療を行います。細菌感染によって生じている場合には、抗生剤による治療が有効です。下痢に吐き気や嘔吐がある場合は脱水が進みやすいため、点滴などによる水分補給が必要になります。特に乳幼児や高齢者は脱水が進行しやすいため、下痢に嘔吐をともなう場合や、下痢で水分を十分とれない場合はできるだけ早く医療機関を受診してください。

慢性下痢は、さまざまな疾患で起こりやすい症状です。早急に適切な処置や治療が必要な潰瘍性大腸炎・クローン病などの難病指定されている疾患や大腸がんでも下痢を起こすことがあります。特に潰瘍性大腸炎とクローン病は近年患者数が増加傾向にあり、いったんおさまって再び症状を起こすことを繰り返す疾患で、それぞれ適切な治療を受けないと悪化して外科手術が必要になることもあります。下痢が続くようでしたら、消化器内科を受診して原因を確かめ、適切な治療を受けましょう。

慢性下痢の原因

慢性下痢を起こす代表的な疾患には、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、大腸がん、慢性膵炎などがあります。疾患以外では、薬剤の副作用、暴飲暴食、ストレスなどが原因になって慢性下痢を生じていることもあります。

下痢の診断・治療の流れ

1問診

下痢の頻度や便の状態、はじまった時期とこれまでの変化、症状を起こすきっかけ、血便・腹痛・体重変化・発熱など他の症状の有無や内容、既往症と服用してる薬、特にお悩みの点などについてうかがいます。また、食事や水分摂取、生活習慣、ライフスタイルなどについても質問さしあげます。気になることなどがありましたら、些細なことでも気兼ねなくご質問ください。

2検査

触診、血液検査、腹部超音波検査などを行って、全身疾患の有無や機能、腸や周辺の状態を確認します。必要があると判断されたら大腸カメラ検査で大腸粘膜の状態を直接観察して、疑わしい部分があれば組織を採取して病理検査を行って確定診断につなげます。当院では楽に受けられる精緻な大腸カメラ検査を行っており、患者様のご不安に合わせてきめ細かく配慮した手法を使っています。苦手意識がある場合にもお気軽にご相談ください。

3治療方法

原因疾患が特定できた場合は、その治療を行います。潰瘍性大腸炎やクローン病は、炎症をできるだけ早く鎮め、その状態を長く続けるための治療を行います。しっかりコントロールを続けることで発症前とあまり変わらない生活を送れるようになります。ただし、この2つの疾患は似ていますが、クローン病は栄養療法が必要になることが多いなど治療法も1部異なりますので、悪化させないためにも必ず消化器内科を受診して確定診断を受け、適切な治療を受けることが重要です。
なお、大腸カメラ検査を受けた際に前がん病変の大腸ポリープが発見された場合には、その場で切除する日帰り手術によって将来の大腸がん予防が可能です。なお、大腸カメラ検査で病変が発見できない場合、過敏性腸症候群が疑われます。この場合も、症状の内容やお悩みの内容に合わせた治療を行うことで、症状改善に導きます。

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